被災地の医療機関の状況

 これまで、保育園や学校、開業医の先生のところを回っていて感じたことは、みなさん大変な努力をされているということです。

 開業医の先生方はご自身も津波にあわれ、2階の天井まで水につかり、ようやく助かった先生もいます。仮設の開業医の先生が多く、しかもぜん息などアレルギーの患者を診ている先生の多くが診療所を流されています。それでも、いち早く地域医療に身を投げ出して寝食を忘れて頑張っておられます。多くのアレルギー患者らがこうした先生方の診療活動で救われています。

 患者支援も必要ですが、同時にこうした先生方への支援も必要だと痛切に感じています。先生方の本格的な診療所開設にむけた支援に何が必要か、考えています。大槌町の道又先生の記事がありますのでお読みいただければと思います。

日経メディカルオンライン
大震災の現場から Vol.37
仮設を卒業し、上流に診療所を新設して再スタート
「通常の医療」にめどついた岩手県大槌町、入院機能の復旧には懸念

 大船渡のうのうらクリニックの先生は、患者が3日間ぜん息で苦しみ治療に来れないと言うので、タクシー代は先生が出すからすぐに来るようにと、片道5,000円はかかる蛸の浦地域の患者のエピソードです。今も毎日バス停から医院までタクシー代を先生が負担しています。

 道又先生をはじめ現在治療にあたっている先生もとても優しい方々です。話をしていて涙を禁じえませんでした。復興は程遠い、一個人の努力でしか方法がないのでしょうか…。一体、この状況を何とかできないかと、地域医療の大切さを噛みしめているこの頃です。