東北事務局

東日本大震災に対する支援活動のご報告(1月) ~東北事務局 千葉奈保美~

1月に入り、昨年訪問出来なかった仮設住宅を回り、ご挨拶とネットアレルギー大学のポスターを貼って頂けるようお願いに伺いました。他には保育園へ再訪問をし、その後のアレルギー状況の確認と支援品のアレルギー対応食のお菓子『ぱりまる』をお届けする活動をしました。
保育園からの要望は、子ども用のマスクが大変多く、インフルエンザが流行っているので、対応を検討したいと思っています。

仮設住宅では、自治会長とお会いできなかった時は、後日伺う事にして訪問していない仮設住宅を出来るだけ回れるよう、奔走しました。
大船渡市の仮設住宅には、支援品が届いていない仮設と、余りすぎて置く所に困っている仮設とがあり、現状を把握しきれていない感じを受けました。
支援員の方に要望をお聞きした所、使い捨てマスクと消毒薬の要望が多くありました。実際、お店の在庫は品薄で現状は、子どもが大人用のマスクをしていたり、予防と言ってマスクを口だけしか覆わないつけ方をしている子どもを連れた親子を見かけたり、病院の帰りと言いながら、体調の悪いお子さんを連れて、人の集まるショッピングセンターで買い物をしていたりと、インフルエンザが流行しているという中、それぞれの認識の違いに驚きました。
たとえ諸事情を考慮したとしても、もう少し他の人に感染を広げない努力も必要ではないかと、実感する出来事でした。

陸前高田市では、住宅設置数が少ない仮設を主に訪問しましたが、世帯数が少ないため自治会長を決めていない仮設住宅が多くありました。その為、アレルギー大学のポスターを貼る許可を頂くために、ポスターを預けて後で貼って頂くようお願いしました。その後、ポスター掲示の確認と共に、ご挨拶も兼ねて再訪問したいと思っています。
陸前高田市では支援員がいない為、お会い出来た自治会長に要望をお聞きした所、アレルギーには関係ないかもしれないけど・・・と前置きされてから『お年寄りが多い仮設住宅の入居者は、買い物に出かける車が無く(運転も出来ず)日用品を購入するのに買い置きも出来ない(多く買っても持てないし運べない)という現状です。』と話されていた事が印象的でした。
確かに大きい仮設住宅では、巡回バスが回っていますし、日用品や食料品を積んだトラックで行商するお店も出ているのに、お話を伺った仮設住宅は、孤立している感じを受けました。
『他のNPO団体や支援団体は月1回~2回来る位で、普段というか、毎日の必要な物の購入がこんなに困難になるとは思わなかった。』と、おっしゃっていた言葉の通り、こちらも現状を把握しきれていない感じが否めませんでした。

仮設住宅が設置数や設置場所で、支援品が届く所と届かない所が出ないようまだまだ配慮すべきと実感しました。私たちが出来る支援の中で、何か対応出来ないか検討したいと思います。

ところで話が変わりますが、1月下旬ころ大船渡に大雪が降り、私たちは支援活動の他に『雪かき作業』に追われました・・・。数センチの積雪でしたが、ホームセンターへ行っても、雪かきスコップが売り切れで、私たちは普通のスコップ片手に広い駐車場を3時間かけて雪かきをしました。
そして、そのお陰か(?)翌日には雪かきした場所は溶けて、車を停める事が出来ました。しかし体力が無くなって全部雪かき出来なかったので、そこは圧雪状態のままです。どうか、すべらないよう祈ります。

その他には、事務所を借りお世話になっている気仙教育会館へ感謝の気持ちを込めて、昨年中に貼り終えられなかった障子の張り替えをしました。
枚数的には10枚分の障子の張り替えでしたが、雪かき同様、やりなれない作業だったので、うまく仕上げられたかどうかわかりませんが、これで寒さも防ぐ事が出来るようになったと思います。
雪で活動が出来ない時は、少しでもいろんな方々のお役に立てるよう努めたいと思います。

東日本大震災に対する支援活動のご報告 ~東北事務局 残間ちや子~

今回は前回の活動報告に引き続き、12月の活動報告をお知らせします。
私たちが一番気になったのは寒さが本格化してきて、仮設住宅にお住まいの方々がどう過ごされているかということでした。
特に前回訪問した際には、風除室が完備されたところとそうでないところがあったので、まだ設置されていなかった住仮設宅を再訪問しました。
幸い工事も進み、私たちが訪問したところはどこも風除室が設置されていました。ただ、まだサッシが入っていない仮設住宅もあり、寒さが堪えるとの声が聞かれました。
ひとつ勉強になったのは、寒さで凍結してサッシが開かなくなった時にお湯で氷を解かしてもまたすぐ凍ってしまいますが、車用の不凍液をサッシの溝にかけると、氷が解けて再凍結も防げるということでした。
また、住人の皆さんを悩ませているのが、結露とカビの問題でした。
ガラスにプチプチを貼って断熱効果を上げたり、アルミのシートを床に敷いて温めたり、暖房だけに頼らない工夫をしていましたが、どうも効果がいま一つのようです。何かあまりお金をかけずに良い方法がないものかと思いました。

 12月は行事も多く、私たちもいろいろな所にお邪魔しました。
クリスマス会では、サンタクロースに扮し子どもたちにとても喜んでもらいました。私たちも可愛い子どもたちの笑顔にとても癒されました。

 また、とある仮設住宅ではとても立派なクリスマスツリーが飾られていたり、集会場で協力してお供え作りをしていたりと、大変な中にも交流を深めて明るく前向きに過ごされている様子が伺えました。
 以上、12月の活動報告でした。

東日本大震災に対する支援活動のご報告 ~東北事務局 残間・千葉~

私たち、東北事務局では10月半ば頃より大船渡市・陸前高田市・気仙郡住田町の各保育園・小学校・中学校・仮設住宅を訪問しアレルギー状況調査を行いました。

大船渡市の保育施設は、公立では4校、法人では9校、私立では1校でした。公立の保育所は、被災地域の高台に建っており、保育所へ向かうにも目安になる建物自体が津波で流され、迷子になりながら辿り着きました。
園児数が少ないため卵アレルギーの1人、ぜんそく・アトピー症状の園児は0人でした。数値的には喜ばしい結果ですが、なかなかお話を伺う事が出来なかった保育所もあり、正確な数値ではありません。支援を求めている保育園もあったので何度か足を運び消毒液やアレルギー対応お菓子をお渡ししとても喜んでもらえました。今後も何らかの対応を検討する必要があると感じています。     

法人保育園では仮設保育園もありました。被災地近くでは瓦礫に囲まれているところもあり、道路のすぐ脇に海水が波打っている状態の道路を通り抜けて保育園へ向かう事もありました。園庭で遊ばせる事が出来ない事、お散歩が出来なくなった事を聞き保育園の大変さを実感しました。訪問が10月末頃だったため、すでに様々な団体からマスクを支援されていましたが、消毒スプレーや消毒液、アレルギー対応のレトルト食品やお菓子をサンプルでお渡ししたところ大変喜ばれました。
食物アレルギーを持つ園児は卵20人・乳が11人・魚1人・くるみ2人・ピーナッツ2人・カニ1人・いくら1人・肉2人・フルーツ2人・その他8人で、除去食対応している事が多かったです。その中の卵アレルギー3人は薬を服用しており、園では薬を保管し対応していました。
アトピーを持つ園児は0人でしたが、震災後じん麻疹が出るようになり治療をしている子が1人いました。
ぜんそくを持つ園児は8人おり、季節で症状が酷くなる2人(入院した子もいた)、吸入器を使用中の2人、軽めの症状の4人でした。訪問後、園の先生からの連絡を受けネブライザーを渡した園児もおり、先生方に少しでも私たちの支援について興味を持ってもらえた事がうれしかったです。
また、ある保育園の園長先生よりネットアレルギー大学の講座DVDが出るような時は見てみたいとのご要望もありました。インターネットの接続環境の問題や出向いて受講する時間もなかなかとれないため、検討してほしいとの事でした。先生方の明るい応対で保育園の楽しい生活が目に見えるような園もあって、私たちも保育園の先生方のパワーに励まされました。

陸前高田市の保育施設は、公立では4校、法人では4校でした。
公立の保育所では、食物アレルギーを持つ園児が卵3人、乳1人、くるみ1人、様々な食物1人でした。

法人の全保育園合計で、卵3人、くるみ5人、エビ・カニ・魚アレルギーの園児が4人おり、どの園でも軽めのアレルギー症状で、除去食で対応していましたが、1人だけ卵アレルギーを持つ女の子(1歳児)は薬を服用中との事で保護者の方との話し合いで対応していました。
アトピーの園児は10人前後おり、治療中の園児は1人で、どの園でも軽い症状の園児が多く、様子をみている状態でした。
ぜんそくを持つ園児は4人でしたが、吸入器やネブライザーを使用している園児もいるそうです。ぜんそくの園児がいる園と全くいない園があり、地域によりぜん息の多い所があったという点に驚きました。被災した園児や仮設暮らしの園児の中には、ネブライザーを求めている場合もありその場合にはお渡ししました。『もう少し早めに来て欲しかった』とのうれしいお言葉と、早めに対応出来なかった事への反省を実感し、今後の支援の対応を検討する必要があると感じる出来事でした。

気仙郡住田町の保育施設は2校ありました。
風邪が流行っているようでしたが、詳しい状況を聞く事は出来ませんでした。
後日、日を改めて再度訪問してみたいと思っています。

11月中旬頃からは、いよいよ小・中学校の聞き取りを始めました。一か月近く保育施設を回って、手ごたえやコツを掴んできたつもりでしたが、教育現場は独特の緊張感があり、最初は伝えたいことがうまく言葉に出来ませんでした。緊張感は相手にも伝わるもので、こちらが口数少なくなると先生も黙ってしまうので最初は本当に苦労しました。陸山高田と大船渡をなるべく交互に平均して回るようにしてきましたが、私たちの地元の学校を回る時は少し話しやすい気がしました。時には知り合いの先生やお世話になった先生にお会いすることもあり、「大丈夫でしたか?」の会話から始まり、そうなると話もスムーズに進みました。そういう事もあり学校によって聞き役と記入する役を交代していました。このようにして約一カ月で大船渡市の小学校14校・中学校8校、陸前高田市の小学校9校・中学校6校、住田町の小学校1校・中学校1校を訪問しましたが、今回訪問出来なかった学校については、後日訪問予定です。
今回の大震災で校舎が被災し、他校の校舎で一緒に学んでいる学校も少なくありません。中には、ひとつの校舎で3校が学んでいるところもありました。場所が確保できないため、校長室は小さいプレハブ3校分が校庭の端に並んで置かれていたのがとても印象的でした。
食物アレルギーに関しては、特に重度のアレルギーを持つ生徒はほとんどいないということでした。給食も、除去食対応をしている所もありましたが、ほとんどの場合本人が除いて食べているとのことでした。昨年までは代替食も対応していましたが、調理の手間も増え、続けるのが難しいということで、給食センターと父兄とで懇談会を開いて話し合い、今年からは除去食対応のみになったそうです。
ぜんそくやアトピーは、聞き取りをした時期が11・12月ということもあってか、どの学校でもいました。中には自己申告の為か?ぜんそくの生徒が50名を超える学校もあり、気になりました。また、せっかくご質問をいただいても我々では即答出来ないことも多く、その時後日訪問してお答えするなどで対応しました。ただこちらの話を聞くだけでなく、質問をいただくというのは興味や関心があるからだと前向きに捉えるようにしました。もちろん、中には「個人情報なので」と一切お話が聞けない学校もありましたが、無理強いはしないように心がけチラシを貼ることは承諾していただきました。

大船渡市の仮設住宅は現時点で把握している設置箇所は38か所です。
その内、訪問した仮設住宅は20か所でした。
大船渡の仮設住宅には支援員さんと自治会長さんがおり、訪問するにあたって、まず挨拶まわりするところから始めました。チラシを貼る事のお願いと、消毒液のサンプルをお渡ししてご希望があった仮設住宅へ支援をしようと各仮設を回りました。時には、仮設を回る事への恐怖感を味わう事もあり、仮設訪問の難しさを実感しました。
ヘコみながらも親切な支援員さんや自治会長さんがいる所では、その人柄に救われたり、道を聞いた入居者の方がアレルギーをお持ちのご家族だったりと、運よくお話を伺う事が出来た事もありました。アレルギー状況は、お話を聞く事が出来た少人数になりますが、ぜんそくとアトピーが気になるご家族が何件かあり、今私たちが出来ることを再認識しながら、再度足を運んでみたいと思います。

陸前高田市の仮設住宅設置箇所は45か所で、その内訪問した仮設住宅は22か所でした。
大船渡の仮設住宅とは違い、支援員さんが常駐していませんので、日中仮設を訪問する際、お仕事中の為なかなか自治会長さんにお会いする事が叶わず、入居者の方のご厚意でチラシを貼らせていただく事を自治会長さんへ伝言でお願いしました。
学校校庭の仮設住宅や山の中の仮設住宅、密集地帯から少し離れた分かりにくい場所にある仮設住宅などいろんな場所に点在する為、名称が違う表記の仮設住宅もあり訪問の際には、いろんな方々に助けられて道を聞き、迷子になりながら回りました。
山沿いに仮設住宅が多いため、急な勾配の坂道を車が登らないアクシデントもありましたが、そんな道を毎日通っている住民の方の不便さに驚きました。ある仮設住宅では、玄関を開けると、目の前が被災した更地の地平線を毎朝見ながら出勤するという、住民の方のメンタル面を思うと、何も言えなくなる気持ちになりました。そんな中でも、やっぱり明るい自治会長さんがいて、訪問する私たちに親切にしてくれる方もいて、逆に元気をいただきました。

住田町の仮設設置箇所は3か所で、訪問した仮設住宅は1か所でした。
住田町の仮設住宅は、住田町独自の仮設住宅の為、なかなか支援品が届かない所だと聞きました。入居者の割合は1世帯が大船渡市の方で残りの世帯が陸前高田市の方だそうです。自治会長さんのご厚意で室内を拝見させていただきましたが、木造建てで、屋根には全居室ソーラーパネルが設置され、室内にはペレットストーブがついていました。屋根が高いので、空間に棚を設け収納場所も確保されていました。プレハブ住宅ではないので、木のぬくもりを感じる温かみのある住宅でした。震災時に学んだそうですが玄関先には、ソーラー式の足元を照らすライトを設置してあり、長屋式では無いのでプライバシーも守られている立派な仮設住宅でした。
しかし、難点としては、風除室が無い為、玄関が凍って開かなくなる事が大変と話され、設置は個人でする必要があるそうです。また、お風呂場とトイレの仕切りがカーテンのみなので、湿気がこもり、窓は結露が気になるとの事でした。
仮設住宅の不便は話を伺ってみないと分からない事ばかりなので、住みやすそうな住宅でも不便な所もあるという事など勉強になりました。アレルギー状況は伺う事ができませんでしたが、後日、再度伺ってみようと思っています。

活動としての第一目標は、「訪問してアレルギー支援ネットワークの活動等を認知してもらう事」だったので、今後の活動としては再訪問しながら話を伺い、相談を受けるような体制を作っていきたいと思っています。