支援の壁②「手を差し伸べる先を見つけるために」

 昨日から引き続き、支援活動体制・方針を振り返ります。

 震災で困っているアレルギー患者の”声”をどうやって拾うのか、どうやって支援の手があることを知ってもらうか…。大きな課題です。

そこで、アレルギー支援ネットワークが模索して実行している方法が、
①メディア(新聞・TV・ラジオ)やインターネット(HP、Twitter、Mixi)を通じた情報発信
②行政・自治体との連携 → 避難所を巡回する保健師さんや栄養士さんを通じ広めてもらう
③避難所を回り、支援活動をアピール、ならびに連絡先を記載したポスター掲示
大きく分けて3点です。

 ①は、緊急支援の段階では、インターネットも携帯も通じないことが問題でしたが、それでも一番連絡が入ってきた方法でした。

 ②は今回のような大規模な災害で自治体自体がマヒしてしまっていた緊急時にはあまり即効力はありませんでした。しかし、行政機能が稼働し始めるとともに「市役所や保健師さんから紹介された」という方も出始めました。

 ③これは、地道で気の遠くなる作業ですが、多くの勇気あるボランティアさんのお陰で4月上旬から始め、今では「ポスターを見た」方が最も多くなりました。

 刻々と状況が変わっていく被災地と被災者の動きや必要とされる支援に合わせて私たちの支援方法や手段も変えるという、先が見えないためにコントロールが大変困難な活動です。

 今後も、私たちの支援活動が、他団体や行政、医療機関とも連携して、いかに有効的かつ確実に支援が必要な方に届けることが出来るかを同時進行で挑戦していきます!

支援活動の壁① 「アレルギーっ子はどこに隠れているの?!」

 先日お伝えした今後の支援のあり方について、少し振り返りながらお伝えしようと思います。

 私たちは、今回のような大災害時の支援方法自体もですが、あまりにも支援を必要としている方々の所在がつかめない事にずっと苦労をし続けています。

 もちろん、支援を求める連絡は入りましたが、それでも連絡が入った件数以上にもっともっと困っている方は多いはずです。

連絡がないのは、
 ①アレルギー患者が少ない/すでに疎開した
 ②限られた支給で何とかなっているから、特別な要求をしない/出来ない
 ③支援があることを知らない
のうち、②と③が大きな問題だと考えています。

 これは過去の阪神淡路大震災の支援活動時に見られた問題の一つです。「自分よりもっと大変な人がいるから…」という心理のもと、支援や理解を求めたり訴えたりしないのです。さらに、東北の地域性と言われる忍耐強さやおくゆかしさも関係するように考えています。

 ①に関しては、統計データから分析しましたが、特別に東北地方にアレルギーっ子が少ないというわけではない、という結論が出ました。

 アレルギー患者は人口比で2~3%と言われ、そもそも多いわけではありませんが、決して少ない数ではありません。もし仮に、数が少なくて、しかもその内の多くが疎開したとしても、支援が不要というわけではありません。疎開先でも支援が必要な場合も十分あるし、今現在も入ってくる支援を求める連絡からしても、沿岸地で我慢している方もいらっしゃるのは事実です。

 少人数だからこそ、理解・配慮がされず、言い出せずに困っている方に手を差し伸べ、その存在・必要性を社会に訴え理解を広めることこそが、行政機関でも一般企業でも出来ない、市民団体・NPOの役割です。

 あの手この手で、アレルギー支援活動をして行くしかありません!!

緊急支援の次は?!

 災害事務局から最近の状況をお伝えします。

 震災から1カ月以上が経つとともに、食べ物に関する緊急性を伴うSOS(支援要請)連絡が減りました。。。

 震災後2週間は、被災した親族や友人を心配して連絡が入ったり、避難先やご自宅から「子どもの食べられる物がない」、「備蓄が足りない」、「お店にアレルギー対応の食品がない」、などの連絡が入り、その都度、支援物資を集積・提供出来る場所を作ったり、現地の支援物資を管理しているアレルギーの会(患者会)と連携して支援物資をお届けしていました。

 また、宅配が動く所では避難所でも自宅でもダイレクトに必要な方へ送り、宅配が難しい場合でも、稼働している最も近い宅配集積所を突き止め、そこまで何とか取りに来てもらうように調整し、支援物資を確実に必要としている方にお届けしてきました。

 連絡が入るたびに、東北3県の拡大地図を見ながら、試行錯誤&不眠不休で支援活動をしてきた結果、
これまで、①職員が直接名古屋から東北へ支援物資輸送とともに宅配業者が動いていない地区の個人宅へ直接支援物資を手渡しいたしました。それではらちが明かないと、②各地で物資集積拠点の確立そしてそこで管理をしてくれる理解者・協力者の確保に務めました。そして、③その物資集積拠点から宅配がスムーズに出来るように、バイク・車輌ボランティアさんを募集いたしました。

 この支援体制が確立・稼働できるようになったために、今度は点在するアレルギーでお困りの方々に、私たちの支援活動を知ってもらい、支援の手が届くように、ボランティアさんや他団体、メディア、行政や医療機関と連携をしながら模索しています。

 緊急なSOSの連絡が減っても、この体制を維持・管理して、アレルギーでお困りでも声を出せずにいらっしゃった方まで含めて、多くの方を支援していきたいと思っています。

 また、今後の支援活動についても、改めて考え始める時期になりつつあります。